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指導者とともにミャンマーへ海外医療派遣

2025.10.20

私のこと

第9回:麻酔科との出会いと決意

研修医としてさまざまな診療科を回る中で、私は麻酔科を選びました。

 

すべての責任は自分が負う、患者さんを守ることこそが使命――それを背中で教えてくれる素晴らしい先生たちに惹かれたからです。

 

麻酔科で研修しているとき、今でも忘れられない出来事がありました。

自分の担当していた患者さんが集中治療室に入ることになったのです。

 

その時、指導医の先生が「お前がこの患者さんを良くするんだ、がんばれ」と声をかけてくださいました。

そして、深夜の集中治療室で、手取り足取り丁寧に教えてくれました。

指導医の厳しくも優しい言葉に思わず胸が熱くなりました。

 

今思い返せば、その当時の私はまだ自分が研修医だからと甘えていたところがあったように思います。

 

麻酔科の先生方が投げかけてくれた言葉、

「医者なら目の前の患者さんの命に責任を持て。そうするために勉強も修練も怠るな」

 

そんなストレートで熱い言葉は私の胸に深く刺さりました。

時に厳しくも、情にあふれた指導者たち。その背中を追いかけていきたいと、心から思いました。

 

麻酔科医は、“見えない守り手”ともいえる存在です。

手術中ずっと患者さんのそばで、全身の状態を見守る役割です。

「絶対に命を落とさせない」という責任を背負っています。

 

そして、手術後や集中治療室の患者さんの管理もします。

そこでは、主治医をはじめ様々な医療スタッフがチームとして協働して患者さんのために働いています。

 

患者さんのために協働するチームの中で、多職種の意見をまとめ、治療の方向性を導いていく。

そして患者さんのために最後の最後まであきらめず、懸命にチームを引っ張っていくリーダー的存在。

私の目指す医師像が、麻酔科での研修を通じて、はっきりとしました。

 

いつか津山に帰り、家業である産婦人科をやることになったとしても、患者さんを絶対に守れる存在でいたい。

そのために、自分を鍛えてくれる麻酔科で働きたいと、岡山大学麻酔科に入局することを決意しました。

 

2011年10月、麻酔科に進むことを決めて教授室に挨拶に伺ったとき、幼少期に祖父から教わった山本五十六先生の掛け軸がありました。

 

「やってみせ 言って聞かせて させてみせ 褒めてやらねば 人は動かじ」

 

岡山大学麻酔・蘇生学教室の初代教授であり学長まで務められた小坂二度見先生は、海軍兵学校の卒業生。

祖父とつながる言葉が、ここにもあったことに、深いご縁を感じた瞬間でした。

 

部屋を出た私は、不思議な感動に包まれて涙がこみ上げてきたのを今でも覚えています。

 

麻酔科前編

麻酔科医として

 

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