2025.10.24
私のこと医師として働きはじめてから6年が経ち、仕事に全力で取り組む目まぐるしい毎日を過ごしていました。
ただ一方で、そうしたキャリアを積み上げることへの情熱は、だんだんと薄らいでいるように感じていました。
麻酔科の先生に憧れ、素晴らしいチームに出会え、麻酔科医を目指してきたはずなのに。
自分の仕事にやりがいはあるものの、「何か」が足らない。
そう思いはじめていました。
自分が本当にやりたい仕事は何なのか、このままでは、ただ時間だけが過ぎていってしまう。
そんな焦りが日に日に大きくなっていました。
そんな中、公衆衛生の分野で著名な先生の講演を聞く機会がありました。
その話は、医師として現場で働くなかで感じていた『「何か」が足りない』という感覚を埋めてくれるものでした。
普段私たちが行っている医療には、きちんとした科学的裏付けがあり、その積み重ねが世の中を進歩させ、結果として多くの人の命を救っている。
そしてその科学は、病院という空間にとどまらず、私たちの暮らす日常の世界にまで広がり、人々を健康にしている。
それが“公衆衛生”という分野です。
そのとき、大学時代、病院実習でお世話になった先生の言葉を思い出しました。
「患者さんを診るだけが医師の仕事じゃない。地域の人が健康に暮らせるようにすることが、本当の仕事だ。」
病院という空間にとどまらず、私は、人々の日常に関わる仕事がしたい。
「地域の人たちが健康で幸せに暮らすこと」
それこそが、自分がやるべきことだ、そのことを深く学びたいと、現場を離れて大学院で学ぶ決意をしました。

麻酔科時代の先生たちと